DNAや遺伝子について学ぼう!

RNAポリメラーゼIIによる転写プロセス

さて、これまでの内容を踏まえて、転写のプロセスを追ってみましょう。
とりあえず、真核生物の話です。

転写のプロセス

転写のプロセスは、『開始』・『伸長』・『終結』の3段階に分けられる。『開始』は、RNAポリメラーゼが1番目と2番目のヌクレオチドを取り込んで、連結(ホスホジエステル結合を形成)する過程である。そして、RNAポリメラーゼが鋳型DNA鎖上を移動しながら安定的にRNA鎖を合成していく過程が『伸長』、RNAポリメラーゼが鋳型DNAから離れて転写を終える過程が『終結』である。

開始の過程は、さらに細かく『開始前』・『開始』・『プロモータークリアランス』に分けられる。基本転写因子やRNAポリメラーゼがプロモーター上に集結し、転写開始前複合体が形成される過程が『開始前』である。そして、ヌクレオチドを取り込んで最初のホスホジエステル結合を形成する段階が、『開始』である。その後、RNAポリメラーゼによる転写が10数塩基進み、RNAポリメラーゼがプロモーターから解放される段階が『プロモータークリアランス』である。

転写の開始

上記の転写プロセスを踏まえて、転写開始の分子機構について説明していこう。前の頁でも説明したが、転写を開始するにあたっては、基本転写因子とRNAポリメラーゼIIがプロモーター上に集合することにより、転写開始前複合体が形成される。これによって、RNAポリメラーゼIIがプロモーター上の正しい位置に配置され、正しい位置からの転写開始が実現される。

では、順を追って説明しよう。はじめに、基本転写因子TFIIDがTFIIAの助けを借りてコアプロモーターに結合する。TFIIAはそのアンチリプレッサー能によりTBP特異的リプレッサーの機能を解除するとともに、TFIIDのDNA結合を安定化する。こうしてTFIIDは、TBPを介してTATAボックスに、TAFsを介してDPEやInrに結合する。続いて、TFIIBがTATAボックス近傍のBREとTFIIDに結合する形で入ってくる。さらに、TFIIBとの相互作用を介してRNAポリメラーゼIIがTFIIFを伴って転写開始点近傍に結合する。すなわち、TFIIBはRNAポリメラーゼを正しい位置に配置させ、正確な位置から転写を開始させる重要な役割を担う。続いて、TFIIEが入ってきてTFIIB, TFIIF, PolⅡと結合し、TFIIHをリクルートする。こうして、転写開始前複合体が完成する。

TFIIHは、そのDNAヘリカーゼ活性により転写開始付近のDNA二重らせんを開裂させる。またTFIIHのCTDキナーゼ活性により、RNAポリメラーゼIIのRpb1サブユニットのC末端ドメイン(CTD)にあるYSPTSPS反復配列の5番目のセリン(S)がリン酸化され、RNAポリメラーゼIIは活性型となる。こうしてヌクレオチドの取り込みが始まり、最初のホスホジエステル結合が形成されることにより、転写が開始となる。そして、10数塩基のRNA合成が行われたのち、RNAポリメラーゼがプロモーターから解放され(プロモータークリアランス)、転写は伸長段階へと入っていく。

転写とRNAプロセシングの共役

CTDを欠失したRNAポリメラーゼIIによって転写されたmRNA前駆体では、RNAプロセシング(5’キャップの形成・スプライシング・ポリA付加)のすべてが阻害される。CTDのリン酸化は、RNAプロセシング因子が結合する足場として機能し、転写とRNAプロセシングを共役させるのである。5番目のセリン(S)をリン酸化するのがTFIIHだが、他にも2番目のセリン(S)が転写伸長因子P-TEFbによってリン酸化される。詳細は、また次の頁で説明しよう。

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