DNAや遺伝子について学ぼう!

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DNA七変化 -1-

このページのテーマは、これ!
さまざまなDNAの立体構造(B-DNA, Bent DNA, Cruciform, Slipped DNA)について
博士、今日は何のお話をするんですか?
今日は、DNAの立体構造の話じゃ。
DNAって、下の図のような二重らせん構造をしているんですよね?

その通り。 このページでは、分かりやすいようにDNAの2本の鎖を赤と青で色分けしてある。 今までに使ってきたDNAの絵とは配色が違うが、右巻きの2重らせん構造であることに変わりはない。 このDNAの構造は、B型構造(B-DNA)と呼ばれておるんじゃ。 しかしそれだけではなく、色々な形に変化できるんじゃよ。
ふ〜ん、色分けされると、ますます、床屋の看板みたいですね。

様々な立体構造について説明する前に、DNAの塩基について少し詳しく説明しておこう。 DNAの塩基にアデニン(A)・グアニン(G)・チミン(T)・シトシン(C)の4種類があることは、最初のページで説明した通りじゃ。 これらの塩基の詳しい構造が、上の図に示してある。 この図を見て分かる通り、これらの塩基は六角形をしたピリミジンと、六角形と五角形とがくっついた形のプリンとに分類される。 そして塩基対を形成するときは、必ずピリミジンとプリンとがペアになるんじゃ。

プリンとピリミジン・・・おいしそうな名前のわりには、格好はいかついんですね。 でもどうして、AはTと、GはCとしかくっつかないんですか?
上の図で、ピンク色で書かれた線が水素結合と呼ばれる、塩基同士をくっつけるボンドなんじゃが、それぞれの塩基の形の都合上、AとT、GとCでないと、このボンドが作れないんじゃよ。
なるほど。 だから、A-Tの塩基対ではプリンであるAとピリミジンであるTとがペアになって、G-Cの塩基対ではプリンであるGとピリミジンであるCとがペアになるんですね。 相手は決まっていて、決して浮気はしないんですね。
さてここから、DNAの立体構造の話をしていこう。 通常のB-DNAでは、10.5塩基対で二重らせんが一回転しており、ランダムに塩基対が並んでいる場合、DNAの二重らせんは真っすぐに伸びる。 では、もしDNAの片方の鎖で、10〜11塩基ごとにA塩基の塊があったら、DNAはどうなるじゃろう?
う〜ん。 塩基が偏りますよね?
そう。 しかも10〜11塩基ごとということは、下の図のように、DNA二重らせんの一方の側面にAが偏ることになるんじゃ。 A塩基が偏って並ぶと、そこでDNA中の塩基の重なり方に歪みが生じるんじゃ。

そして、下の絵のようにDNAが曲がるんじゃよ。 このDNAの構造を、湾曲DNA(Bent DNA)というんじゃ。 なぜ曲がるか、詳しい仕組みはまだ分かっておらんが、”A塩基が偏ると曲がる”とだけ覚えておいてくれたまえ。

かあ〜わゆい! ”くにい〜”って、曲がるんですね。 他にも色々な構造があるのですか?
うむ。 次に紹介するのが、十字型DNA(Cruciform)じゃ。 これは、名前の通り十字型をしたDNAで、この構造をとれるのは、下の図のように右から読んでも左から読んでも同じ塩基配列なんじゃ。 ここで言う右から読んでも左から読んでも同じ塩基配列とは、5′->3’の方向に読んだ場合の話だから、間違えないように。

『トマト』とか『しんぶんし』とは、ちょっと違うんですね。
この構造の中では、図のようにDNAのひとつの鎖の中で塩基対を形成しているんじゃよ。 そして、tRNAのようなクローバー型になるんじゃ。 これをちょっと綺麗な絵にすると、下の絵のようになる。

きゃー、綺麗! なるほど。 普通は赤い鎖と青い鎖とが塩基対を形成するのに、十字型DNAのときは、赤い鎖が自分自身の中で塩基対を形成して1本の腕を作り、青い鎖も同じように別の腕を作っているんですね。
その通りじゃ。 2本の鎖の色を変えてあるから、分かりやすいじゃろ? さて、このページの最後に紹介するのは、スリップDNA(Slipped DNA)じゃ。
スリップDNA? DNAが滑ったのですか?
まぁ、そういうことじゃ。 この構造は、下の図のように同じ塩基配列が同じ向きに繰り返されているときに出来る。

上の図で、赤の1番と2番は全く同じ配列である。 同様に、青の1番と2番も全く同じである。 このようなダイレクトリピートでDNAの2本の鎖が滑ると、右側のように赤の2番と青の1番とが塩基対を形成することが出来るんじゃ。 そして、塩基対を形成できなくなった赤の1番と青の2番は、1本鎖のまま輪を形成することになる。 これが、スリップDNAの正体じゃ。

なるほど。 あまっちゃった鎖が、外にはみ出ているんですね。 ふ〜ん、面白いですね。 これらの構造って、何かの役に立っているんですか?
うむ。 こういったDNAの立体構造が、転写や複製などの調節に関与しているとも言われているが、まだまだ議論の最中じゃ。 これからの研究に、期待しようぞ。
は〜い。 DNAの立体構造の話は、まだまだ続くんですよね?
そうじゃ。 今までのは、比較的簡単な構造じゃが、これからがちょっと複雑で面白い。 次のページで紹介するから、楽しみにしていたまえ。
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