DNAや遺伝子について学ぼう!

転写開始

このページのテーマは、これ!
転写が正しい位置から始まるためには?
このページの内容は、われわれ人間を含めた真核生物にのみ当てはまります。
細菌などの原核生物には当てはまりません。
さて今日は、ダン博士の素顔に迫りたいと思います。
す、素顔...
どうかしましたか?
い、いや... 別に素顔を見せてもよいが、世界中の女性がわしに惚れてしまったらどうするんじゃ?
・・・・・・・・
見よ! これがわしの素顔じゃ!
キャー 博士〜 でも、どこかで見たことあるような...?

まぁ、よいではないか。 さて今日は、mRNAの転写が正しい位置から始まるための仕組みについて説明しよう。 まずは下の図を見てくれたまえ。

この図は、遺伝子の構造を簡単に説明したものじゃ。 まず、直接的にタンパク質の構造を決定している部分(エクソン)と、それを分断している部分(イントロン)とがある。 イントロンは、遺伝子のコピーを作るときに一時的にコピーはされるが、最終的には除去されてしまうんじゃ。 詳しくは、次のページで説明しよう。 また、転写を調節する転写調節領域という部分もある。

転写調節領域?
この中には、転写の活性を調節するのに必要な要素が含まれておるんじゃ。 まず、転写を始めるために必要なプロモーター。 そして、転写を活性化するのに必要なエンハンサー。 また、逆に転写を抑制するサイレンサーなどと呼ばれる部分もあのじゃ。
ふ〜ん。 なんだか、複雑ですね。
うむ。 タンパク質の構造を決定している部分(エクソン+イントロン)は構造遺伝子と呼ばれ、ふつう遺伝子というとこの構造遺伝子のことを指すんじゃ。 しかし、転写を調節するプロモーターやエンハンサーやサイレンサーも含めて遺伝子ということもある。
このホームページで使う”遺伝子”は、どちらを意味するのですか?
後者の方じゃ。 プロモーターもエンハンサーも含めて、遺伝子と呼ぶことにする。
は〜い

では最初に、プロモータによる転写開始のメカニズムについて説明しよう。 下の図は、プロモーターの詳しい構造を示しておる。

多くの遺伝子のプロモーター中で最もよく保存され、中心的な役割を果たしているのが、TATAボックスである。 これは、転写開始点の上流約25〜37塩基対のところにあるTATAという塩基配列のことじゃ。 そしてこのTATAボックスを中心に、転写開始の位置が正しく決定されるのじゃ。

ふ〜ん、どうやって?
まずは、基本転写因子と呼ばれる転写開始に関わる役者達を紹介しよう。 下の表を見てくれたまえ。
RNAポリメラーゼ II
mRNAを直接的に合成する酵素
TFIIA
TFIIDのDNAへの結合を助ける
TFIIB
転写開始部位の決定に、直接機能する
TFIID (主役)
転写開始の引き金となる、最も重要な因子
TBP (TATA結合タンパク質)とTAFs (TBP関連因子)から成る
TFIIE
THIIHの機能を制御・プロモータークリアランスに関与
TFIIF
RNAポリメラーゼをプロモーターへ連れてくる
TFIIH
プロモーターのDNA二重らせんをほどく
プロモータークリアランスにも関与
たくさんいるんですね。
そうじゃ。 これらの役者が協調して働き、正しい位置から転写が始まるんじゃ。 では、段階を追って説明しよう。

は〜い。

まず最初に、TFIID (TBP)がTATAボックスに結合するんじゃ。 そしてそこへTHIIAがやって来て、TBPとTATAボックス上流のDNAに結合し、TFIIDのDNAへの結合を安定化させるんじゃ。 さらにそこへTFIIBが来て、TBPとDNAに直接結合するんじゃ。
TFIIAとTFIIBは、同じところに結合するのですか?

いや、この両者は、お互いに接触はしないんじゃ。 さてここで、RNAポリメラーゼが他の場所でTFIIFと結合し、プロモーターへとやって来てTFIIBと結合する。 この段階で、RNAポリメラーゼは転写開始点を含む正しい位置に配置されるんじゃ。 次にTFIIEがRNAポリメラーゼに結合し、さらにTHIIHもRNAポリメラーゼに結合して、転写の準備完了じゃ。

なるほど... これらの因子が全部くっついたまま、転写が行われるのですか?
いや、違うんじゃ。 転写が10〜15塩基ほど進むと、この複合体がプロモーターから解離し、転写が進むんじゃ。 この過程を、プロモータークリアランスと呼ぶ。
プロモータークリアランス...? 具体的には、何が起こるんですか?

つまり、TFIIDとTFIIAとTFIIBはプロモーターに残り、次の転写の開始のために待機しているんじゃ。 そしてRNAポリメラーゼは、TFIIFとTFIIJが結合したままRNAの合成をおこない、その他の因子は離れていくというわけじゃ。 これらの過程をまとめると、下のアニメーションのようになる。

TATAボックスを持たないプロモーターもあるが、それでもTBPは普遍的に働く。 RNA polymerase IやIIIによる転写、TATAボックスのないプロモーターからのRNA polymerase IIによる転写については、機会があったら別なページで説明しよう。

ふ〜ん、なるほど。 では、エンハンサーはどのように働くのですか?
エンハンサーにも、プロモーターと同様に特定のタンパク質因子が結合するんじゃ。 そして、このプロモーターと相互作用することによって転写の量を調節しておるんじゃ。 詳しくは、また別なページで話そう。 今日はこれでおしまいじゃ。 理解できたかな?
う〜ん。 博士の素顔、とても印象的でした。
でも、このホームページを見ている女性の皆さん、騙されちゃダメよ。 博士って本当は...
PAGETOP
Copyright © NS遺伝子研究室 All Rights Reserved.
Powered by WordPress & BizVektor Theme by Vektor,Inc. technology.