DNAや遺伝子について学ぼう!

転写の基礎

RNAは転写という反応により合成される。
転写の詳細をお話しする前に、転写の基礎・概要について解説しましょう。

RNAの合成(転写)

転写によりこのようなRNAを作るには、DNAを鋳型とする。このとき重要なのは、ウラシル(U)がアデニン(A)と相補的な塩基対を形成できることである。ピリミジンの5位の炭素に付く残基(Tのメチル基とUの水素)の部分は、塩基対(水素結合)の形成に関係ない部分であるため、チミン(T)とウラシル(U)はともにアデニン(A)と相補的な塩基対を形成できるのである。

したがって転写では、まず鋳型となるDNAの二重螺旋をほどき、一方のDNA鎖を鋳型として相補的な塩基を取り込んでいく。その際、DNAのアデニン(A)に対して、RNAではウラシル(U)を取り込むのである。このようにしてRNAを合成することで、DNAの一方の鎖(鋳型とならなかった方)の塩基配列が、RNAとしてコピーされるのである。

ちなみに、転写においてRNA合成の鋳型となったDNA鎖をアンチセンス鎖、鋳型とならなかった方のDNA鎖をセンスさという。つまり、転写ではアンチセンス鎖を鋳型として相補的な塩基配列をもつRNAを合成し、結果としてセンス鎖と同じ塩基配列をもつコピーを作製するのである。

RNAポリメラーゼ

転写を触媒する、すなわち実行する酵素は、RNAポリメラーゼとよばれる。その作用の特徴を、以下にまとめた。

  • RNA合成の方向は、5’→3’方向である。
    RNAポリメラーゼは、RNAの3’末端に鋳型DNAと相補的な塩基をもつヌクレオチドを取り込む酵素である。したがって、合成中のRNAは必ず5’から3’方向へと伸長していく。
  • RNA合成の基質は、ヌクレオシド三リン酸(NTP)である。
    RNAポリメラーゼはRNAの3’末端にヌクレオチドを付加する酵素だが、取り込む際には三リン酸のかたちで取り込む。そして、実際に付加する前にピロリン酸(二リン酸)を切り取り、残ったヌクレオシド一リン酸をRNA鎖に付加するのである。
  • NTPの高エネルギーリン酸結合の加水分解により、必要なエネルギーを得る。
    NTPに含まれる3つのリン酸間の結合は、高エネルギーリン酸結合とよばれ、高いエネルギーをもっている。この加水分解において生じるエネルギーを利用して、RNAポリメラーゼは合成反応を実行している。
  • プライマーを必要としない。
    DNAポリメラーゼと違い、RNAポリメラーゼは合成のきっかけとなる核酸(プライマー)を必要としない。つまり、1番目の塩基から合成を始めることができるのである。

プロモーター

ゲノムDNA(染色体)上にはたくさんの遺伝子が存在し、それぞれの遺伝子には方向がある。下の図の例では、遺伝子A, B, Eは左から右にコードされている。したがって、遺伝子A, B, EがRNAポリメラーゼによって転写されるとき、下側の鎖が鋳型鎖(アンチセンス鎖)となって上側の鎖(センス鎖)のコピーが作製される。一方、遺伝子C, D, Fは右から左にコードされており、上側の鎖が鋳型鎖(アンチセンス鎖)となって下側の鎖(センス鎖)のコピーが作製される。このように、DNAの2本の鎖のうちどちらが鋳型となるかは、遺伝子によって異なるのである。

このような遺伝子の方向、すなわちRNAポリメラーゼがどこからどちら向きに転写するかを決定するが、プロモーターである。プロモーターはRNAポリメラーゼの結合部位を含んでおり、転写の開始部位と方向を決めている。そして、細菌の遺伝子には転写を停止させるシグナルがあり、これをターミネーターとよぶ。このプロモーターからターミネータまでの領域、すなわちRNAへと転写される領域が転写単位である。

最後に、今後のために、遺伝子の塩基の番号について説明しておきたい。遺伝子に含まれるさまざまな塩基配列の位置を表すために、遺伝子中の塩基には番号が割り当てられている。住所の番地のようなものである。転写開始点、すなわちRNAの1番目の塩基に相当する位置が+1で、そこから下流(転写される方向)に向かって+2, +3. +4と進む。それに対して、転写開始点から上流(転写の進行と反対の方向)に向かって1番目の塩基に相当する位置が-1で、そこから上流に向かって-2, -3, -4と進む。このように、遺伝子の位置を表す数直線に0はないので注意したい。

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