DNAや遺伝子について学ぼう!

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メンデルさんのエンドウ豆 -其の壱- 優性の法則

このページのテーマは、これ!
遺伝のしくみ(優性の法則)を勉強しよう
さぁ博士、今日はいよいよ本格的に遺伝の話をするんですね。
うむ。今日から3ページにわたって、遺伝の基礎について説明しようと思う。遺伝の応用編は、またいつか別のページで紹介しよう。 まずは、気楽に読んでくれたまえ。
はい。では、よろしくお願いします。
遺伝という現象は、メンデルという人がエンドウ(豆)を使って詳しく調べたんじゃ。長年にわたって、マメに豆の観察を続けたんじゃな。マメに豆...ぷぷぷ
博士!早く遺伝の仕組みを教えてくださいよ。

よろしい。メンデルは、エンドウのいくつかの特徴(形質)に注目しておった。ここでは、エンドウ豆の“色”を使って、遺伝の説明をしていこう。

エンドウ豆には黄色と緑色の豆があるんじゃ。そしてメンデルは、エンドウの交配を繰り返していくうちに、ある法則を見いだした。ではここで問題じゃ。黄色い豆のエンドウと緑色の豆のエンドウを交配したら、その次の世代(雑種第1代)はどうなったと思うかね?

う〜ん。きっと黄緑色の豆ができたと思います。

違うんじゃよ。実は、次の世代のエンドウは、全部黄色の豆になったんじゃ。そこでメンデルは、優性の法則を見いだした。つまり、豆が黄色いということは、緑色であることに対して優性だというんじゃ。それとは逆に、緑色であることは劣性だというんじゃよ。

ふ〜ん。なんか、不思議ですね。どうして中間の黄緑色にならないのだろう?

これが、優性の法則なんじゃ。これを説明するために、遺伝子が登場する。前の“遺伝子の伝言”のページで話したように、細胞には父親由来と母親由来の同じ種類の染色体(相同染色体)が2本ある。エンドウの場合も、おしべ(花粉)由来とめしべ(卵)由来の2本の相同染色体があるんじゃ。そしてそれぞれの相同染色体には、同じ形質に関わる遺伝子が乗っておるんじゃよ。

ここで、エンドウ豆を黄色くする遺伝子をA、緑色にする遺伝子をaとしよう。このとき、最初に出てきた黄色い豆のエンドウは、相同染色体の両方にAを持ち、このエンドウが持つ遺伝子はAAと表される。逆に、緑色の豆のエンドウは相同染色体の両方にaを持ち、遺伝子はaaになるんじゃ。

だんだん難しくなってきましたね。
おしべの花粉やめしべの卵は、動物の精子や卵と同様に減数分裂によって作られるんじゃ。前のページで説明したように、減数分裂のときには2本の相同染色体は分れて別々の細胞に入る。ところが、上のAAaaのエンドウは、2本の相同染色体に同じ遺伝子を持っている。したがって減数分裂後には、AAのエンドウからはAという遺伝子を持つ花粉・卵だけができ、逆にaaのエンドウからはaという遺伝子を持つ花粉・卵だけができるんじゃ。分かるかな?

はい、絵を見れば何とか...

ということは、黄色と緑色のエンドウの雑種第1代はAaという遺伝子を持つことになりますよね?

その通りじゃ。なかなか鋭いね。
黄色と緑色のエンドウ豆の雑種第1代は全部黄色になるはずだから、Aaという遺伝子を持つエンドウ豆は黄色くなるということですね。でも、どうして?

これが、前に出てきた優性の法則の実体なんじゃ。遺伝子のレベルでいうと、遺伝子Aは、aに対して優性であるということになる。つまり、遺伝子Aから作られるタンパク質があれば、aの有無に関わらずエンドウ豆は黄色になるということじゃ。

なるほど。では、aaのエンドウ豆は、Aがないから緑色なんですね。ところで、この優性の法則は人間にも当てはまるのですか?
もちろんじゃ。いくつかの例を、下の表にまとめた。
形質 優性 劣性
目の色 茶色 青色
フサフサ ツルツル
巻ける 巻けない
ここまでは、ちゃんと理解できたかな? では、続きは次のページでお話ししよう。
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