DNAや遺伝子について学ぼう!

遺伝子を切る!

このページのテーマは、これ!
遺伝子を切ったり貼ったり...
みなさん、遺伝子の部屋に新コーナーが出来たんですよ。名付けて遺伝子操作技術編!で、どんなお話をするんですか?
うむ。遺伝子操作技術編では、遺伝子の解析に使われる様々な技術について紹介していこう。よく使われる技術から、最新の技術まで、広く紹介していくつもりじゃ。
なるほど。では、第一回目の今日は何のお話ですか?
今日は、制限酵素の話をしよう。
制限酵素?

うむ。この制限酵素の発見があったからこそ、現在の遺伝子研究の発展があると言っても過言ではないんじゃ。

ふ〜ん。で、何が制限されている酵素なんですか?18歳未満は使用禁止とか?え〜、私使えないよぉ。
ムカッ!まぁ、名前の由来の説明はあとにして、まずは制限酵素とは何か説明していこう。いいかな?
は〜い
制限酵素は、DNA中の特定の塩基配列を認識して、そこに切れ目をいれる酵素なんじゃ。例えば、EcoRIという制限酵素は5′-GAATTC-3’という塩基配列を認識し、始めのGとAとの間に切れ目をいれる。また、HindIIIという制限酵素は5′-AAGCTT-3’という配列を認識し、最初の2つのAの間に切れ目を入れるんじゃ。
ふ〜ん。はさみを持った酵素なんですね。ちょっきん!って、こんな感じかな?でも、特定の塩基配列のところしか、切れないんですか?
そうなんじゃ。このように限られた塩基配列しか認識して切断できない酵素なんじゃよ。

なるほど。ところで博士、よくみると制限酵素が認識する塩基配列は、下の図みたいにDNAの両方の鎖で同じですよね?

うむ。良いところに気が付いたのぉ。その通りじゃ。そしてこの制限酵素は、DNAの両方の鎖に切れ目を入れるんじゃ。その結果、下の図のような片方の鎖が突出した末端が出来る。

ふ〜ん。でも、この制限酵素と遺伝子研究の発展と、どう関係があるのですか?
上でも話したように、EcoRIという制限酵素は5′-GAATTC-3’という塩基配列だけを認識する。したがって、EcoRIで切断されたDNAは、必ず同じ形の末端を持つことになるんじゃ。しかも、DNAリガーゼという酵素を使えば、下の図のように同じ形の末端をもつDNAどうしをくっつけることが出来るんじゃ。
へ〜え! はさみを持った酵素があれば、糊みたいにくっつけちゃう酵素もあるんですね。そして、この2つの酵素を使えば、DNAを切ったり貼ったりできるんですね!

そうなんじゃ。さらに、人間のDNAをEcoRIで切っても、大腸菌のDNAをEcoRIで切っても、切断されたDNAの末端の形は同じじゃ。だから、人間のDNAと大腸菌のDNAとをつなぎあわせることも出来るんじゃ。すごいじゃろう?このようなDNAの合の子を、組換えDNAと呼ぶんじゃ。

じゃあ、人間と大腸菌、人間とハエ、人間と犬や猫のDNAも、切ったりくっつけたり出来るんですね。すごーい!この組換えDNAが、遺伝子研究の発展に貢献したということですか?
その通りじゃ。しかし、遺伝子研究の発展に貢献したのは、制限酵素や組換えDNAだけではない。その他の話については、この遺伝子操作技術編でこれから徐々に紹介していこう。よろしいかな?
はーい。ところで、EcoRIとかHindIIIの名前の由来は何ですか?
それは、その制限酵素が発見された生物の名前に由来するんじゃ。例えば、EcoRIは大腸菌で発見された酵素じゃ。大腸菌の名前は、正式にはEscherichia coliで、そのR株で見つかった1番目の制限酵素だから、EcoRIなんじゃ。ちなみにHindIIIは、Haemophilus influenzaeのd株で見つかった制限酵素だから、HindIIIなんじゃ。
あれ?これらの制限酵素って、生物自身が持っているんですか?ということは、その生物自身の染色体DNAが切断されてしまうのではありませんか?

良いところに気が付いたのぉ。実は、制限酵素を持つ生物は、自分自身の染色体DNAをメチル化しておる。そしてこのメチル化されたDNAは、制限酵素で認識・切断されなくなる。例えば大腸菌の場合、染色体DNA中の5′-GAATTC-3’という塩基配列がメチル化されておるから、自分が持っている制限酵素EcoRIが自分の染色体DNAを切断することはないんじゃ。

へ〜え。ちゃんと、自分の身は自分で守るように工夫しているんですね。では、何のためにEcoRIなんて制限酵素を持っているのですか?

それは、大腸菌が外敵から身を守るためじゃ。例えば、大腸菌がウイルスに感染したとき、ウイルスのDNAは5′-GAATTC-3’という配列がメチル化されてないので、EcoRIで切断されてしまう。こうして、大腸菌の中でのウイルスの増殖を防いでおるんじゃ。

なるほど。大腸菌などの細菌は、私たちのように免疫による防御機構を持っていないから、制限酵素が必要なんですね。
その通りじゃ。そして、細菌が持つこのような防御機構は制限-修飾系と呼ばれておる。この制限-修飾系で使われる酵素だから制限酵素と呼ばれるんじゃよ。ちなみに、ここでいう修飾とは、メチル化のことじゃ。
ふ〜ん。じゃあ、細菌の種類によって色々な制限酵素があるんですね。

そう。色々な塩基配列を認識するさまざまな制限酵素が存在するんじゃ。しかも下の図のように、5’末端が突出するものだけでなく、3’末端が突出するものや、平滑な末端を生じるものもあるんじゃ。

なるほど。こういう細菌が持っている色々な制限酵素を利用すれば、色々な組み合わせの組換えDNAが作れるんですね。
うむ。そしてこのような組換えDNA技術は、遺伝子の解析においても重要な技術だし、遺伝子治療においても必要不可欠な技術なんじゃ。
そういえば最近は、遺伝子組換え食品なんてものも話題になってますね。
うむ。こういった遺伝子組換え技術を駆使すれば、ある生物のDNA中に、その生物が本来持たない遺伝子を無理矢理組込むことも出来るんじゃ。そして、害虫に強い農作物などを作ることが出来る。だが、この遺伝子組換え食品については、まだまだ問題がたくさんあるようじゃのぉ。
なるほど。じゃあ、博士とキリンとライオンとチーターと...いっぱい組換えて、背が高くて強くて足の速い、かっこいい博士になりましょう!
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