DNAや遺伝子について学ぼう!

RNAスプライシング

RNAポリメラーゼIIによって転写されたmRNA前駆体は、RNAプロセシングを受けて成熟mRNAとなる。その中で、遺伝子を分断しているイントロンを除去する過程がRNAスプライシングである。ここでは、RNAスプライシングの詳細な機構を説明しよう。

イントロンの塩基配列

RNAスプライシングでイントロンを除去するためには、どこがイントロンなのか知る必要がある。実は、イントロンの塩基配列にはある規則があり、ほぼすべて(99%以上)のイントロンはGUで始まり、AGで終わる。これをGU-AG則という。そして、GU配列の5’側(イントロンの5’末端)を5’スプライス部位、AG配列の3’側(イントロンの3’末端)を3’スプライス部位という。
もう一つの重要な配列は、3’スプライス部位の18〜40ヌクレオチド上流にある分枝部位である。酵母における分枝部位のコンセンサス配列はUACUAAC、動物ではYNYYRAYとなっており、赤字で示したアデニン(A)がまさに分枝部位となる。さらに、分枝部位の下流にはピリミジン(CとU)が連続する領域が存在する。

RNAスプライシングの過程

RNAスプライシングの反応は、2段階の連続するエステル転移反応によって行われる。
第1段階では、分枝部位のアデニン(アデノシン)の2’-OH基が5’スプライス部位を攻撃してRNA鎖を切断し、分枝部位の2’-OH基と5’スプライス部位の5’-リン酸基との間で2’,5’-ホスホジエステル結合が形成される。こうしてできたイントロンの構造は、投げ縄(ラリアット)構造とよばれる。
第2段階では、遊離した5’側エキソンの3’末端の3’-OH基が、3’スプライス部位を攻撃してRNA鎖を切断し、5’側エキソンの3’-OH末端と3’側エキソンの5’-P末端との間でホスホジエステル結合が形成される。こうして2つのエキソンが連結されることにより、RNAスプライシングが完了する。

スプライシング装置

RNAスプライスングの反応を中心的に実行(触媒)しているのは、snRNA(核内低分子:small nuclear RNA)である。通常のRNAスプライスングでは、U1, U2, U4, U5, U6の5つのsnRNAが50種類以上のさまざまなタンパク質と複合体を形成したsnRNP(核内低分子リボ核タンパク質)がはたらいている。例えば、U1 snRNAは分子内塩基対の形成により2次構造を形成し、そこにタンパク質が結合してU1 snRNPとなる。そして、snRNAとmRNA前駆体との間でも相補的な塩基対が形成され、さまざまな相互作用が生まれる。

RNAスプライシングの過程では、複数のsnRNPを核にして、さまざまな構成のRNAスプライシングを行う大型複合体が形成される。この複合体を、スプライソソーム(spliceosome)とよぶ。このスプライソソームによるRNAスプライシングの詳細を、以下に説明する。

最初に、mRNA前駆体の5’スプライス部位にU1 snRNPがRNA間の相補的な塩基対形成を介して結合し、E複合体が形成される。続いて、U2 snRNPが分枝部位に結合してA複合体となる。このとき、U2 snRNAはmRNA前駆体と相補的に結合し、分枝部位のアデニン(A)が突出することになる。次に、U4/U6 snRNP二量体とU5 snRNPで構成されるsnRNA三量体がリクルートされてB複合体となるが、このままではまだ不活性である。そして、U4/U6間の塩基対による相互作用が解け、U4が放出される。フリーになったU6はU2と相互作用し、さらにU1も放出されてU6が5’スプライス部位に結合することで活性型のBact複合体ができる。Bact複合体が、さらなる編成により触媒作用をもつB*複合体となって最初のエステル転移反応を行い、ラリアット構造が形成されることによりC複合体となる。C複合体は第2のエステル転移反応を担っており、3’スプライス部位の切断が行われる。このとき、2つの遊離したエキソンはU5 snRNPにより保持されており、さらに2つのエキソンが連結されてP複合体となる。最後に、連結したエキソンが放出されてILS複合体となり、スプライソソームは解離する。

スプライソソームの再編成

上記で説明したように、スプライソソームがそのsnRNPの構成や相互作用を変化させながら、RNAスプライシングは行われる。とくに、既存のRNA-RNA結合を壊し、新しい結合をつくる再編成が重要となる。こうした再編成を実行するために、スプライソソームを構成するたんぱく質にはRNAヘリカーゼが多数含まれる。RNA-RNA再編成を繰り返す意義は、RNAスプライシングに必要なシグナルを再確認できることと、2回のエステル転移反応を実行する触媒活性部位を形成することである。下記に、RNA-RNA再編成の例を挙げていく。

① U1 snRNPがmRNA前駆体の5’スプライス部位と塩基対形成によって結合するが、このU1がU6に置き換わる。

② 分枝部位には最初BBPが結合するが、U2 snRNPがBBPに代わって分枝部位のコンセンサス配列と塩基対を形成する。

③ U5 snRNPが、2個のエキソンと塩基対を形成し、両者を近付ける。

④ U4とU6 snRNPは塩基対を形成して二量体になるが、両者は離れてU4が放出される。

⑤ U4と離れたU6は、さらにU2と塩基対を形成する。

こうした一連の再編成の過程で、スプライソソームには触媒活性部位が形成され、エステル転移反応が実行されるのである。

PAGETOP
Copyright © NS遺伝子研究室 All Rights Reserved.
Powered by WordPress & BizVektor Theme by Vektor,Inc. technology.