転写が正しい位置から始まるためには?
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まぁ、よいではないか。 さて今日は、mRNAの転写が正しい位置から始まるための仕組みについて説明しよう。 まずは下の図を見てくれたまえ。
この図は、遺伝子の構造を簡単に説明したものじゃ。 まず、直接的にタンパク質の構造を決定している部分(エクソン)と、それを分断している部分(イントロン)とがある。 イントロンは、遺伝子のコピーを作るときに一時的にコピーはされるが、最終的には除去されてしまうんじゃ。 詳しくは、次のページで説明しよう。 また、転写を調節する転写調節領域という部分もある。
多くの遺伝子のプロモーター中で最もよく保存され、中心的な役割を果たしているのが、TATAボックスである。 これは、転写開始点の上流約25〜37塩基対のところにあるTATAという塩基配列のことじゃ。 そしてこのTATAボックスを中心に、転写開始の位置が正しく決定されるのじゃ。
RNAポリメラーゼ II |
mRNAを直接的に合成する酵素 |
TFIIA |
TFIIDのDNAへの結合を助ける |
TFIIB |
転写開始部位の決定に、直接機能する |
TFIID (主役) |
転写開始の引き金となる、最も重要な因子 TBP (TATA結合タンパク質)とTAFs (TBP関連因子)から成る |
TFIIE |
THIIHの機能を制御・プロモータークリアランスに関与 |
TFIIF |
RNAポリメラーゼをプロモーターへ連れてくる |
TFIIH |
プロモーターのDNA二重らせんをほどく プロモータークリアランスにも関与 |
いや、この両者は、お互いに接触はしないんじゃ。 さてここで、RNAポリメラーゼが他の場所でTFIIFと結合し、プロモーターへとやって来てTFIIBと結合する。 この段階で、RNAポリメラーゼは転写開始点を含む正しい位置に配置されるんじゃ。 次にTFIIEがRNAポリメラーゼに結合し、さらにTHIIHもRNAポリメラーゼに結合して、転写の準備完了じゃ。
つまり、TFIIDとTFIIAとTFIIBはプロモーターに残り、次の転写の開始のために待機しているんじゃ。 そしてRNAポリメラーゼは、TFIIFとTFIIJが結合したままRNAの合成をおこない、その他の因子は離れていくというわけじゃ。 これらの過程をまとめると、下のアニメーションのようになる。
TATAボックスを持たないプロモーターもあるが、それでもTBPは普遍的に働く。 RNA polymerase IやIIIによる転写、TATAボックスのないプロモーターからのRNA polymerase IIによる転写については、機会があったら別なページで説明しよう。
でも、このホームページを見ている女性の皆さん、騙されちゃダメよ。 博士って本当は...