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遺伝子のコピーであるRNAは、どのように作られるのか?
このページの内容は、われわれ人間を含めた真核生物にのみ当てはまります。
細菌などの原核生物には当てはまりません。
遺伝子のコピーであるRNAは、どのように作られるのか?
このページの内容は、われわれ人間を含めた真核生物にのみ当てはまります。
細菌などの原核生物には当てはまりません。
今日のお客様も、博士です。
はーい、博士でーす
は、博士、いきなりテンション高いですねぇ。
そお?いつも通りじゃよ。
さて、今日は遺伝子のコピーの仕方を勉強しよう。しかし、その前に少し復習じゃ。
はーい
遺伝子とは、生物の体を作り動かすのに必要なタンパク質を作るための設計図のことじゃ。では、遺伝子はなんという物質で出来ているかね?
DNAです。
その通りじゃ。遺伝子はDNAという形で細胞の核の中に大切に保管されておる。では、タンパク質は細胞のどこで作られるかね?
核の外にあるリボソームです。
そう。遺伝子はとても重要な設計図なので、核の外へ持ち出すことは出来ない。ところが、タンパク質は核の外のリボソームで作らなくてはならないんじゃ。
う〜ん、困ったぞ?
そこで登場するのが、RNAじゃ。遺伝子という設計図の情報が核の中でRNAという形にコピーされて、それが核の外に持ち出されるんじゃ。このRNAを作る過程を何というかね?
転写です。
その通りじゃ。そしてRNAには伝令RNA(mRNA)・運搬RNA(tRNA)・リボソームRNA(rRNA)の3種類あるが、実際にタンパク質の設計図のコピーとしてはたらくのはmRNAだけじゃ。他のRNAはRNAのままの形で、mRNAからタンパク質を作るのを補助しておる。以上のこと、ちゃんと覚えておるかな?
は〜い。
以上のことを踏まえて、RNAの作り方、すなわち転写の仕方を説明しよう。RNAとはリボ核酸(Ribo Nucleic Acid)を省略した名前じゃ。 DNAと名前がよく似ておるが、構造もDNAとよく似ておる。
DNAは2本の鎖でできておるが、RNAは1本の鎖なんじゃ。そして、DNAに使われる糖はデオキシリボースじゃが、RNAに使われるはリボースというちょっとだけ構造が違うものなんじゃ。もう一つの大きな違いは、RNAではチミン(T)塩基の代わりにウラシル(U)が使われるということじゃ。つまり、RNAにはA・U・G・Cの4種類の塩基が使われるんじゃ。
ふーん。では、DNAの2本の鎖のうち、どちらか一方の鎖がRNAに転写(コピー)されるんですか?
そうじゃ。この転写の時にも、複製と同じように塩基対が大事なんじゃ。つまり、DNAの一方の鎖を鋳型として、塩基対の組み合わせを利用してもう一方の鎖のコピーを作るんじゃ。ただし転写の場合は、AとUという組み合わせが使われるから注意しなくてはならない。
結局、DNAがRNAへと転写(コピー)されると、DNA中でTであった塩基は、すべてUに置き換えられるんじゃ。
この構造は、mRNAとtRNAとrRNAの3種類のRNAすべてに共通なんですか?
そうじゃよ。最終的にできるRNAの構造は同じじゃが、作る過程はそれぞれ違うんじゃ。転写はRNAポリメラーゼという酵素によって行われるのじゃが、RNAの種類によって使われるRNAポリメラーゼの種類も違うんじゃ。使う酵素が違うから、転写の仕方も少し違う。しかし基本的には同じで、5’から3’の方向に転写される。RNAの種類とRNAポリメラーゼの種類を下の表にまとめておいたので、見てごらん。
RNAポリメラーゼ I リボソームRNA(rRNA)の転写をおこなう RNAポリメラーゼ II 伝令RNA(mRNA)の転写をおこなう RNAポリメラーゼ III 運搬RNA(tRNA)などの小さなRNAの転写をおこなう
これら3種類のRNAポリメラーゼに共通する転写の方法を、下のアニメーションにまとめてみた。まず、DNAの2重らせん構造が一部ほどけて、そこから片方の鎖を鋳型として5’から3’の方向に転写が始まるんじゃ。RNAポリメラーゼは塩基対の組み合わせを利用して、もう片方の鎖のコピーを作る。しかしそのコピーでは、すべてのTがUに置き換えられるんじゃ。
なるほど、博士。分かりました。でも、DNA上で転写が始まる場所って、どうやって決まるんですか?それに、いつどこで転写するかということも、どうやって決まるんですか?
それは、応用編の“転写開始!!”のページに説明してある。ちょっと難しくなるから、まずはこのページの内容をちゃんと理解しておこう。
はーい
では、また次のページで会おう!さらばじゃ!